【C芽】ひとこと科学85「神話の科学(9)」

【C芽】ひとこと科学85「神話の科学(9)」

 「骨や歯には亡くなった後も感染症のウイルスが残っているかもしれない」

もしそうだとしたら、遠い昔の人の遺骨からも今の病気を解決するヒントが得られるかもしれませんね。

みなさん、こんにちは。今日も「ひとこと科学」から加藤先生の「神話の科学」のつづきです。

加藤先生のご専門はウイルス学。ウイルスは私たちの日常に、周りにいつの間にかいることも・・・。

そんな日常や身近な周囲に「なんでなんで」を感じて見つけて、考えて、答えを発見して、それを立証する、

「問を立てる→思考する→発見する→エビデンスを取る」

この循環を「ひとこと科学」の記事を使って、実践してみてほしいなと思っています。

今回の記事の中に「ウイルスのなんでなんで」「DNAのなんでなんで」など、たくさんの「なんでなんで」見つけてくださいね。

最後にこれまでの「神話の科学」の記事にも飛べるようにリンクを貼っています。

そちらも合わせてご覧ください^^

★今回の投稿★

〈タイトル〉

神話の科学(9)

〈本文〉 

 私がつなげたいと思っている神話(考古学)と科学の話をしますね。

皆さん、天正(けん)(おう)少年使節という4人の少年達を知っていますか?

織田信長が亡くなる直前に出発してローマ法王に会いに行き8年かかって帰ってきた九州のキリシタン大名の使節です。

その後、豊臣秀吉と徳川幕府のキリスト教禁止令で、4人共別々の道を生きて亡くなりました。

イエズス会というキリスト教布教の会員には一緒になったのですが、千々石ミゲルだけが、脱会して仏教の日蓮宗になったのです。

ミゲルのその後の様子は分からなかったのですが、2003年に彼の墓が長崎県で見つかり発掘されました。

誰が葬られていたのかが分からなかったのですが、墓を造った人の系図から身元が判明したのです。

ミゲル夫妻(2人)の墓だったのです。

発掘で副葬品と埋葬法から潜伏キリシタンであると確定しました。

その後、夫妻の死の5日前に近くで14人が天然痘で亡くなっていたという古い記録が見つかりました。

ウイルス学をやっている私は何とか彼ら夫妻の骨か歯から天然痘ウイルスの遺伝子であるDNAを見つけ出して、天然痘で亡くなったことを科学的に証明したいと思って計画を立てている所です。

今はこういう事が出来るかもしれない時代になったのです。

上手くウイルスDNAが見つかれば数年後のニュースに出るかもしれません。

右下が千々石ミゲル(京都大学図書館)
ドイツで印刷された

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*前回までの記事は以下からご覧いただけます。

2023年1月4日「神話の科学(1)」

2023年1月18日「神話の科学(2)」

2023年1月25日「神話の科学(3)」

2024年1月3日「神話の科学(4)」

2024年1月10日「神話の科学(5)」

2024年1月17日「神話の科学(6)」

2024年1月24日「神話の科学(7)」

2024年1月31日「神話の科学(8)」

投稿者:加藤茂孝先生プロフィール】

1942年生まれ・東京大学出身・理学博士

国立感染症研究所室長、日本ワクチン学会理事、米国疾病対策センター(CDC)客員研究員などを歴任

【「ひとこと科学」について】

専門家の方など専門分野に携わる方の「言葉」を子どもたちや市民に届けていく取り組み。

科学者の先生方や科学技術の実務の現場の方、科学コミュニケーションの活動をされている方などの「言葉」を発信中。

https://blog.manabinomake.net/?p=822



*参考:「市民と科学者のトークグループ CAS talk」について

https://blog.manabinomake.net/?p=528