【C芽】ひとこと科学97「神話と科学」
- 2024.05.01
- まなサポブログ
みなさん、こんにちは。
早いもので今日から5月。GWに入りましたね。
GWに出かける方は、ぜひ自然のなかに「物語」を見つけてみませんか?
久しぶりに加藤先生の記事。
自然の中にある物語のひとつ、神話。神話の中にも「科学」の要素はあるんですよ。
そんな神話の「なんでなんで」も考えてみましょう。
自然の中にある大きなことにも小さなことにも、「なんでなんで」を感じて見つけて、考えて、調べて、答えを発見して、それを立証する、
「問を立てる→思考する→発見する→エビデンスを取る」
この循環を「ひとこと科学」の記事を使って、ぜひ実践してくださいね^^
★今回の投稿★
〈タイトル〉
神話と科学「富士山と八ケ岳、どちらが高い?」
〈本文〉
2024年3月に八ヶ岳南山麓で2泊しました。
宿の周辺からは、富士山も八ヶ岳も雲に隠れてさえいなければ大変よく見えました。
面白いのは共に裾野が広く尾を引いて同じように見えることです。
富士山は火山としてとてもきれいな形をしています。
雲に隠れた裾野だけを見ていると、八ケ岳も元は火山で富士山のような形で標高も高いだろうと思えます。
昔の人も同じように思ったのでしょう。
だから、富士山と八ケ岳はどちらが高いのだろうと考えたのです。
ここからが神話の世界に入ります。
皆さんは離れたものの高さを比べるのにどうすれば良いと思いますか?
人工衛星も航空測量も三角測量もなかった時代です。
「そうだ、巨大なといを作って二つの山頂を繋いで、といの中を水がどちらに向かって流れるかで決めよう」。
実行したところ、八ケ岳から富士山に向かって水が流れた。
「八ケ岳の方が、高い!」これを知った富士山の女神、木花之佐久夜毘売(このはなさくやひめ)が怒りの余り、八ケ岳を足で踏んづけてしまう。
八ケ岳は粉々になって今の様に八つの峰に分かれてしまい、背も低く成った。今では富士山の方が高い。
この神話は、元々はすそ野の形を見た甲斐の国の人々が作りだした神話なのではないだろうか。
地形の観察から想像される事は多い。
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【投稿者:加藤茂孝先生プロフィール】
1942年生まれ・東京大学出身・理学博士
国立感染症研究所室長、日本ワクチン学会理事、米国疾病対策センター(CDC)客員研究員などを歴任
【「ひとこと科学」について】
専門家の方など専門分野に携わる方の「言葉」を子どもたちや市民に届けていく取り組み。
科学者の先生方や科学技術の実務の現場の方、科学コミュニケーションの活動をされている方などの「言葉」を発信中。
https://blog.manabinomake.net/?p=822
*参考:「市民と科学者のトークグループ CAS talk」について
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