【C芽】ひとこと科学80「神話の科学(4)」

【C芽】ひとこと科学80「神話の科学(4)」

 🎍明けましておめでとうございます🎍

新しい一年の始まりですね。

今年の「ひとこと科学」の始まりは、去年、加藤先生が書いてくださっていた「神話の科学」のつづきをお届けします。

お正月で神社にお参りに行った人も多いのではないでしょうか。

その歴史に思いをはせながら、今年も

日々の中に「なんでなんで」を感じて見つけて、考えて、答えを発見して、それを立証する、

「問を立てる→思考する→発見する→エビデンスを取る」

この循環を「ひとこと科学」の記事を使って、実践してみてほしいなと思っています。

今年も身のまわりに、どんな「なんでなんで」が隠れているか想像してみてくださいね。

最後に去年の記事にも飛べるようにリンクを貼っています。そちらも合わせてご覧ください^^

★今回の投稿★

〈タイトル〉

神話の科学(4)

〈本文〉

 ヤマトタケルは三重県鈴鹿市の能褒野(のぼの)町で()くなりました。

彼の墓から白い鳥が飛び立って途中何度か地面に降り立った後、最後に大阪府(河内(かわち)の国)に落ち着きました。

そこに遺族が塚を造り、それは白鳥(しらとりの)(みささぎ)と言われています。

死後、魂が鳥になって飛び立つという話は、ヨーロッパの古代洞窟の壁画にも描かれています。

世界の東でも西でも同じように考えられていたことが面白いですね。

ヤマトタケルは亡くなる前に、故郷を(しの)び、国偲びの歌を作っています。良い歌です。

  大和(やまと)は 国のまほろば たたなづく青垣 山ごもれる (やま)()しうるわし

 (大和は、日本の中でもっともすばらしいところだ。長く続く垣根のような青い山々に囲まれたヤマトは、本当に美しい)

ほんとうにヤマトタケルが日本の西から東まで、戦い続けたという事なのではなく、おそらく当時の戦っていた多くの人々の努力や苦労や死去を一人のヤマトタケルにまとめあげた神話だと考えられています。

このように神話は古代の人々の思いが反映されています。

能褒野王塚古墳(のぼのおうつかこふん)
(ヤマトタケルの墓の候補の一つ)の位置

フランスのラスコーの壁画。バイソンに角で刺されて亡くなった人の魂が鳥になった?と解釈されている。

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*前回までの記事は以下からご覧いただけます。

2023年1月4日「神話の科学(1)」

2023年1月18日「神話の科学(2)」

2023年1月25日「神話の科学(3)」

投稿者:加藤茂孝先生プロフィール】

1942年生まれ・東京大学出身・理学博士

国立感染症研究所室長、日本ワクチン学会理事、米国疾病対策センター(CDC)客員研究員などを歴任

【「ひとこと科学」について】

専門家の方など専門分野に携わる方の「言葉」を子どもたちや市民に届けていく取り組み。

科学者の先生方や科学技術の実務の現場の方、科学コミュニケーションの活動をされている方などの「言葉」を発信中。

https://blog.manabinomake.net/?p=822



*参考:「市民と科学者のトークグループ CAS talk」について

https://blog.manabinomake.net/?p=52