【C芽】ひとこと科学79「庭木の共生」

【C芽】ひとこと科学79「庭木の共生」

 みなさん、こんにちは。

今回は今年最後の投稿です。皆さん、この1年はどんな1年でしたか。

自分自身の振り返りにも「なんでなんで」の手法を活用してみてくださいね。

今年最後の投稿を飾るのは、やはり松田先生からの記事です。

今年一年を振り返りながら、身近なところに隠れている「なんでなんで」を感じてくださいね。

日々の中に「なんでなんで」を感じて見つけて、考えて、答えを発見して、それを立証する、

「問を立てる→思考する→発見する→エビデンスを取る」

来年も、この循環を「ひとこと科学」の記事を使って、実践してみてほしいなと思っています。

来年のあなたの一年にはどんな「なんでなんで」が隠れているか想像してみてくださいね。

★今回の投稿★

〈タイトル〉

庭木の共生(其の2)

〈本文〉

 思い起こすと前兆がありました。

3年ほど前にこの木の近くに植えてあった高さ3mくらいの柘植の木が台風で倒れたので切り倒しました。

また、その際に近くに植えていたロウバイやドウダンツツジも密集しすぎるので切りました。

 白ヤシオは那須・日光などの山林に生育するツツジで、とくに根っこの乾燥を嫌うとされています。

ヤシオとその周辺に植えてあった木々が寄り添って地面を乾燥から守っていたようです。

とくに根っこの乾燥に弱いヤシオが一昨年から元気がなくなり、今年は異常に多くの、しかし小さな花を咲かせ、それからすぐに枯れてしまいました。

この造成地は地面を少し掘ると粘土が混じった土となっていて成木になると枯れていく木がこれまで何本もありました。

原因は水はけが悪いせいで根腐れを起こしたことだと考えていましたが、今年の猛暑ではどうやら粘土層がその下からの水分を遮って根を張った上部の層の乾燥を早めてしまったようです。

気が付いても後の祭りですが。

図 1 枯らしてしまった白ヤシオのかつての姿。植えてから十数年後の写真。
ピンクに見えるのは三つ葉ツツジで写真で見るとヤシオと三つ葉の間の根元にドウダンツツジが植えてあった。
またヤシオの背後には大きな柘植や蝋梅が植えてあり、日陰を作っていた。手前側には腐葉土をつくるための落ち葉が積まれていたことが昔の写真でわかります。
寄り添って互いに助け合う「共生」は今西錦司先生の「棲み分け」とともに生物が生き残るための法則かも知れません。

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*前回の投稿は以下よりご覧いただけます。

12月20日「庭木の共生」

投稿者:松田慎三郎先生プロフィール】

1945年生まれ・京都大学出身・工学博士

原研核融合那珂研究所長、理事を経て2011年から東工大、京大、東北大特任教授、研究員、ITER国内チームリーダ、プラズマ核融合学会長を歴任

専門は核融合炉システム

【「ひとこと科学」について】

専門家の方など専門分野に携わる方の「言葉」を子どもたちや市民に届けていく取り組み。

科学者の先生方や科学技術の実務の現場の方、科学コミュニケーションの活動をされている方などの「言葉」を発信中。

https://blog.manabinomake.net/?p=822



*参考:「市民と科学者のトークグループ CAS talk」について

https://blog.manabinomake.net/?p=52