【C芽】ひとこと科学vol.22(シリーズ・お空の下では)
- 2022.11.02
- まなサポブログ
みなさん、こんにちは。
科学者の先生方などの「言葉」を届ける取り組み「ひとこと科学」からの第22弾の投稿です。
今回は松田先生の「お空シリーズ」の続編です。
前回までの分と合わせてぜひお読みいただけたらうれしいです^^
★「ひとこと科学」第22回投稿★
〈タイトル〉
お空の下では(7)
〈本文〉
60年前のはなし。
大野高校の中庭に木造平屋の図書室があり、一般の閲覧室に隣接して開かずの書庫があった。
高校生の私はある日の放課後、図書係の人に頼んでお化け書庫室に入れてもらった。
小さな窓の光だけの薄暗い部屋に年期が入った木の本棚が何列も並んでいて、xx年史だの色が変わった古い図書がずらりと並べられていた。
その一角に横積みされたさらに古そうな図書類に出会った。
タイムスリップして今から170年ほど前、江戸末期の大野藩校明倫館(1844年開設)で使われていたものだった。
幾つか手に取った中に和紙で綴られた蘭語(オランダ語)、英語の辞書と思われるものがあった。
開いたページには一語一語が毛筆で丁寧に書かれており、発音はカタカナで朱書きされていた。
明倫館が所有していた原本か、あるいは塾生が書き写したものか、ともかく辞書を精魂込めて書き写しで作ったのである。
今ならスマホでカシャだけど代わりに頭の片隅のROMに焼き付けたものが残っている。
当時の勉学に燃えた若者たちの鬼気迫るものを感じ、これは負けたと思った。
*前回までの記事は以下からご覧いただけます。
7月27日「お空に乗って」
https://blog.manabinomake.net/?p=920
8月10日「お空に乗って(続編)ーお空の下ではー」
https://blog.manabinomake.net/?p=930
8月24日「お空の下では(2)」
https://blog.manabinomake.net/?p=981
8月31日「お空の下では(3)」
https://blog.manabinomake.net/?p=989
9月7日「お空の下では(4)」
9月14日「お空の下では(5)」
10月19日「お空の下では(6)」
【投稿者:松田慎三郎先生プロフィール】
1945年生まれ・京都大学出身・工学博士
原研核融合那珂研究所長、理事を経て2011年から東工大、京大、東北大特任教授、研究員、ITER国内チームリーダ、プラズマ核融合学会長を歴任
専門は核融合炉システム
【「ひとこと科学」について】
専門家の先生方の「言葉」を子どもたちや市民に届けていく取り組み。
まずは、主に科学者の先生方の「言葉」から発信中。
https://blog.manabinomake.net/?p=822
*参考:「市民と科学者のトークグループ CAS talk」について
https://blog.manabinomake.net/?p=528
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