【C芽】ひとこと科学vol.12(シリーズ・お空の下では)
みなさん、こんにちは。
科学者の先生方などの「言葉」を届ける取り組み「ひとこと」からの第12弾の投稿です。
今回も、「市民と科学者のトークグループ CAS talk」でいつも記事を書いてくださっている松田先生からの「ひとこと」で、この間の「お空シリーズ」の続編です。
前回までの分と合わせてぜひお読みいただけたらうれしいです^^
★「ひとこと科学」第12回投稿★
〈タイトル〉
お空の下では(2)
〈本文〉
積雪は背の高さほどあるので屋根の端から順に降ろす(下に投げ捨てる)しかありません。
そこで、一番降ろし易い屋根の端の雪を落とします。
積もって間もないので雪は固めた雪ほど重くありませんが、背丈以上の雪の壁をバンバと呼んでいた木製平板の雪かき道具を包丁のように使って超巨大豆腐にエイヤーっと縦に切り目を入れ、次に瓦の近くの下面に平板を傾けて突き刺すと余り力を入れなくても雪はその上を滑って地面に落下していきます。
この方法で図の矢印の方向に屋根の端の雪を先ず落としながら進みます。
ここからが問題です。
屋根の表側と裏側の荷重のバランスを考えると次は反対側の屋根の下端の雪を降ろすのが理想ですが地面も深雪なので重い梯子を移動することはできません。
そこで太郎は考えました。
端は降ろし易いのでずーっと端を進んで行こおーと。
深雪を進むために平地では雪かき(ラッセル)するには人一人が進む道しか作れません。しかし、屋根では端伝いに切り落とすのが一番です。
(図の説明)
太郎は表側の右端を上に向かって進み、鬼瓦のある屋根の頂上まで達すると次には裏側屋根右端の雪を落としながら進み、最初に取り掛かった足場と対称な位置に立ちました。
その後は同じように裏側屋根の下端を進み、次に左端を昇って降りて最初の足場に戻ってきました。
丁度屋根の端だけ雪を落としたことになります。
荷重のバランスを考えた太郎は一筆書きのように次に内側の層の雪を降ろしていきました。
後になるほど雪を遠くに放り投げないといけないことになりますが、残された雪壁面積も小さくなっていきます。天空からこれをみていた孫悟空が何だか西域の、そのまた西の国の食べ物(バウムクーヘン)に似ているなあーとつぶやいていました。
きっと太郎はお腹が空いていたのでこの方法を思いついたに違いありません。
*前回までの記事は以下からご覧いただけます。
7月27日「お空に乗って」
【CAS×芽育】ひとことvol.8(お空に乗って:松田先生)
8月10日「お空に乗って(続編)ーお空の下ではー」
★祝10回★【C芽】ひとことvol.10(続編・お空に乗って)
【投稿者:松田慎三郎先生プロフィール】
1945年生まれ・京都大学出身・工学博士
原研核融合那珂研究所長、理事を経て2011年から東工大、京大、東北大特任教授、研究員、ITER国内チームリーダ、プラズマ核融合学会長を歴任
専門は核融合炉システム
【「ひとこと科学」について】
専門家の先生方の「言葉」を子どもたちや市民に届けていく取り組み。
まずは、主に科学者の先生方の「言葉」から発信中。
【CAS×芽育】の新しい取り組み「ひとこと」
*参考:「市民と科学者のトークグループ CAS talk」について
【CAS】市民と科学者のトークグループ CAS talkについて
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