【C芽】ひとこと科学77「枝垂れ桜の謎Vol.4」

【C芽】ひとこと科学77「枝垂れ桜の謎Vol.4」

 みなさん、こんにちは。

前回に引き続き、松田先生からの投稿です。

最初に「枝垂れ桜の謎」を投稿したのは、去年の6月でした。

それから1年半。その続編が届きました。

去年6月→8月→12月→今年12月・・・と、科学とは観察とは、時間をかけてこそ、真実に近づくのかなと思いました。

それでは今回も、日々の中に「なんでなんで」を感じて見つけて、考えて、答えを発見して、それを立証する、

「問を立てる→思考する→発見する→エビデンスを取る」

この循環を「ひとこと科学」の記事を使って、実践してみてほしいなと思っています。

これまでの「枝垂れ桜の謎」(2022年6月29日・8月3日・12月7日)も今回の投稿の最後に掲載しますので、ぜひ合わせてご覧くださいね。

★今回の投稿★

〈タイトル〉

枝垂れ桜の謎Vol.4

〈本文〉

 枝垂桜の先端が花が咲いている時になぜ地面に衝突しないのか、しかも地表近くになると向きを変えていることについて幾つかの仮説を立てて観察してきました。

これまでに分かったことは、葉が出だすとその重さで枝はしなり、先端部分は地表を這うものが出てきます。

しかし、葉が枯れると軽くなって、枝の上の方が戻るため枝先は再び地表より浮き上がることが観察されました。

仮説の中で枝先にセンサーがついていて地表が近づくと方向を変えるというのは間違いとなります。

残る疑問はさらに1年先に枝先はどうなるの? ということでした。

今年続けて観察すると去年地表を這った枝は今年は芽吹きから直ぐに地を這うので殆ど新たに伸びようとしても新芽が地面に擦られて葉が砕け、枝の成長が止まります。

つまり、昨年から先に成長することはありませんでした。

残された観測は川面に垂れ下がった枝はどうなるのかですが、まだ現地に行く機会が無いので結論は1年先です。

図1 昨年の芽吹き時期の枝の先端。若葉の重さで枝が垂れ下がり地表を這っている枝が見られます(左の2枝)
図2 今年(2023年)夏の状態。角度が違いますが、昨年の2つの枝は地表では葉は既に砕けています。こうなると枝の先端は枯れてしまい、成長は止まります。

*前回までの記事は以下からご覧いただけます。

2022年6月29日「枝垂れ桜の謎」

2022年8月3日「続編・枝垂れ桜の謎」

2022年12月7日「枝垂れ桜の謎Vol.3」

投稿者:松田慎三郎先生プロフィール】

1945年生まれ・京都大学出身・工学博士

原研核融合那珂研究所長、理事を経て2011年から東工大、京大、東北大特任教授、研究員、ITER国内チームリーダ、プラズマ核融合学会長を歴任

専門は核融合炉システム

【「ひとこと科学」について】

専門家の方など専門分野に携わる方の「言葉」を子どもたちや市民に届けていく取り組み。

科学者の先生方や科学技術の実務の現場の方、科学コミュニケーションの活動をされている方などの「言葉」を発信中。

https://blog.manabinomake.net/?p=822



*参考:「市民と科学者のトークグループ CAS talk」について

https://blog.manabinomake.net/?p=52