【C芽】ひとこと科学 64(たんぽぽの茎)

【C芽】ひとこと科学 64(たんぽぽの茎)

今回は加藤茂孝先生からの投稿です。

★今回の投稿★

〈タイトル〉

日本タンポポはどこへ行く?

〈本文〉

 我々が目にするタンポポには、大別して西洋タンポポと日本タンポポがあります。

西洋タンポポは外来種で、日本タンポポが彼らに押されてほとんど絶滅しそうになっています。

西洋タンポポは、繁殖力が強く1年中開花して増え、工事現場の荒れ地(掘り返しひっくり返された土地)でも平気で増えます。

日本タンポポは(関東タンポポもこの1部です)、はるのみ開花し、改変されていない植生(昔のままの堀り返えされたりしていない環境)でしか増えられません。

つまり、人工的に掘り返されたり荒らされたりする場所では途端に消えて行きます。

国土開発の嵐が吹き荒れ掘り返されまくっている日本では、急速に減っている理由です。

 一番簡単な鑑別法は日本タンポポは、花弁を支える萼(がく。花の裏につく細長い緑色のもの)が、ぴったりと先端まで花弁に付き添っています。

一方の西洋タンポポは萼の一部しか花弁には付かず、途中で折れ曲がって先端が外に垂れ下がっています。

 今度、タンポポを見る時には、何月に咲いているのか、また花の裏の萼を確かめて見て下さい。

投稿者:加藤茂孝先生プロフィール】

1942年生まれ・東京大学出身・理学博士

国立感染症研究所室長、日本ワクチン学会理事、米国疾病対策センター(CDC)客員研究員などを歴任

【「ひとこと科学」について】

専門家の方など専門分野に携わる方の「言葉」を子どもたちや市民に届けていく取り組み。

科学者の先生方や科学技術の実務の現場の方、科学コミュニケーションの活動をされている方などの「言葉」を発信中。

https://blog.manabinomake.net/?p=822



*参考:「市民と科学者のトークグループ CAS talk」について

https://blog.manabinomake.net/?p=528