【CAS】大阪府のオミクロン感染
- 2022.01.29
- CAS talk

こんにちは。
少しお久しぶりですが、「市民と科学者のトークグループ CAS talk」からの投稿です。
大阪府のオミクロン株について松田先生と土岐先生が新しい記事を書かれました。
〈要旨〉
オミクロン株によるコロナ感染が日本全体ですさまじい勢いで拡大している。
大規模感染が起きている大阪府について今後の予測を示すが、これは国内全体にあてはまることである。
終息までのシナリオを見据えたとき、オミクロンにはその再生産数の大きさにより従来の専門的知識では理解できない面がある。
その一つはオミクロンの感染力(再生産数)に対応した集団免疫を達成するための免疫保有者率は人口の90%を超えるため、ワクチン接種だけでは到達できないレベルにあり、感染によって免疫を保有する人が増えることにより到達するしか方法が無いことである。
とくに感染者が少なかった日本は感染免疫を持つ人が世界でも例外的に少なく、ほとんどワクチンによる免疫保有に頼っていた。このため全体の免疫保有者率は90%に達している英国や米国に比べて相当低いままである。
今後終息へのパスとして感染者が過去の米英並に大幅に増えざるを得ない状況にある。
加えて、ワクチンの有効性の問題がある。これまで国や自治体はワクチン接種率だけを喧伝してきたが、重要なのは接種によってどれだけの人が免疫を持っているかである。
接種直後の有効性は高くても、とくにオミクロンに対するワクチン有効性の経年劣化は著しく、実効的なワクチン免疫保有者はどんどん減少してきている。
劣化はブースター接種によって回復させなければならないが、3本目接種の議論をしている間に劣化が進み、手遅れの感がある。
今から全力で接種しても回復までに数か月を要することが懸念される。
これらのことから感染者数がこれまで累積の4~5倍くらいは必要となる長丁場を覚悟すること、対策の重点を発生の抑制から重症化防止、医療体制の維持に移すことが必要である。
〈市民と科学者のトークグループ CAS talkについて〉
http://manasapo.net/blog/?p=528
〈松田慎三郎先生のプロフィール〉
1945年生まれ・京都大学出身・工学博士
原研核融合那珂研究所長、理事を経て2011年から東工大、京大、東北大特任教授、研究員、ITER国内チームリーダ、プラズマ核融合学会長を歴任
専門は核融合炉システム
〈土岐博先生のプロフィール〉
1946年生まれ・1974年大阪大学博士課程修了(理学博士)、
ドイツ6年、アメリカ3年の滞在を経て、1983年から東京都立大、1994年から阪大核物理研究センター教授、2000年から6年間核物理研究センター長、2010年から大阪大学名誉教授、
現在は大阪大学キャンパスライフ健康支援センター特任教授、
専門は原子核理論物理、電磁ノイズ理論など
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